東京地方裁判所 昭和53年(特わ)1554号 判決 1978年10月09日
本店所在地
東京都武蔵野市西久保三丁目一八番一〇号
サカイ薬品株式会社
(右代表者代表取締役 河嶋弘道)
本籍
東京都武蔵野市西久保三丁目三三一番地
住居
同市西久保一丁目一〇番二号
会社役員
河嶋弘道
昭和九年一〇月六日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官乙部二郎出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人サカイ薬品株式会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人河嶋弘道を懲役一年二月にそれぞれ処する。
被告人河嶋弘道に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人サカイ薬品株式会社(以下「被告会社」という。)は、肩書地(昭和五二年一〇月三一日以前は、東京都武蔵野市関前五丁目一番一四号)に本店を置き、医薬原料及び医薬品の販売等を目的とする資本金九六〇〇万円(昭和五二年一一月三〇日以前は四八〇〇万円、同五一年八月三一日以前は四〇〇〇万円、同五〇年八月二〇日以前は二〇〇〇万円、同五〇年二月二八日以前は一〇〇〇万円、同四九年一〇月一日以前は五〇〇万円)の株式会社であり、被告人河嶋弘道(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役(昭和五〇年一月九日以前は実質経営者)としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入を計上して簿外預金を蓄積する等の方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和四九年六月一日から同五〇年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇二五四万〇四五五円あった(別紙(一)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年七月三〇日、東京都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号所在の所轄武蔵野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三八二七万七一九二円でこれに対する法人税額が一三一七万六七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五三年押第一三三二号の符号一)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三八八五万五二〇〇円(税額の算定は別紙(三)の一計算書参照)と右申告税額との差額二五六七万八五〇〇円を免れ、
第二 昭和五〇年六月一日から同五一年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億九八六五万三三一一円あった(別紙(二)の修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年七月二九日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七一六七万一五八三円でこれに対する法人税額が二三五五万二七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号二)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額七七〇四万三六〇〇円(税額の算定は別紙(三)の二計算書参照)と右申告税額との差額五三四九万〇九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
第一 判示冒頭事実を含む判示事実全般につき、
一 被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書(乙2)
一 萩本功、大西恒彦の検察官に対する各供述調書(甲一15、16)
一 登記官作成の閉鎖登記簿及び登記簿謄本(甲一1、2)
第二 別紙(一)、(二)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「当期増減金額」欄記載の数額のうち、
(イ) 商品総売上高(各<1>)につき、
一 検察官倉田靖司作成の架空売上高の認定に関する捜査報告書(甲一3)
一 大蔵事務官作成の架空売上、架空仕入総括調査書(甲一4)、(有)山本薬品、(有)協栄産業の売上決済状況調査書(甲一5)、売上除外調査書(開業医等に対するもの)(甲一6)、売上除外調査書(繰延分)(甲一7)
(ロ) 代理店手数料(各<3>)につき、
一 大蔵事務官作成の代理店手数料等調査書抄本(甲一10)
(ハ) 期首商品棚卸高(別紙(二)<4>)、期末商品棚卸高(各<7>)につき、
一 大蔵事務官作成の商品在庫調査書(甲一9)
(ニ) 商品総仕入高(各<5>)につき、
一 前掲甲一4、10
一 大蔵事務官作成の(有)山本薬品の仕入、決済状況調査書(甲一8)
(ホ) 海外諸経費(別紙(一)<36>、同(二)<37>)につき、
一 前掲甲一10
一 検察官倉田靖司作成の海外諸経費に関する捜査報告書(甲一11)
(ヘ) 受取利息(別紙(一)<37>、同(二)<38>)につき、
一 大蔵事務官作成の仮名普通預金残高等調査書(甲一12)
(ト) 為替差損(各<44>)につき、
一 前掲甲一10
(チ) 事業税認定損(各<45>)につき、
一 検察官倉田靖司作成の事業税認定損に関する捜査報告書(甲一13)
(リ) 価額変動準備金戻入(別紙(二)<47>)、価格変動準備金繰入(各<49>)につき、
一 武蔵野税務署長作成の証明書(甲一14)
第三 別紙(一)、(二)の各修正損益計算書掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び過少申告の事実につき、
一 被告会社の昭和五〇年五月期及び同五一年五月期各法人税確定申告書各一袋(当庁昭和五三年押第一三三二号符号一、二)
(法令の適用)
法律に照すと、判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法第一五九条第一項(被告会社については、さらに同法第一六四条第一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法第一五九条第二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法第四八条第二項により合算した金額の範囲内において罰金二〇〇〇万円に、被告人については同法第四七条本文、第一〇条により犯情重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役一年二月にそれぞれ処し、被告人に対し同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 半谷恭一)
別紙(一) 修正損益計算書
サカイ薬品株式会社
自 昭和49年6月1日
至 昭和50年5月31日
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(二) 修正損益計算書
サカイ薬品株式会社
自 昭和50年6月1日
至 昭和51年5月31日
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(三)の一 ほ脱税額計算書
サカイ薬品株式会社
(1) 自昭和49年6月1日
至昭和50年5月31日
<省略>
別紙(三)の二
(2) 自昭和50年6月1日
至昭和51年5月31日
<省略>
(3) 2年分合計法人税額
<省略>